TRELLIS.2 vs Marble:画像から3Dを生成する2つのアプローチ

著者: Ayumu | 公開日: 2025年12月28日 | カテゴリ: 3D生成AI, 技術比較

1枚の画像から3Dモデルや3D空間を生成するAI技術が急速に進化している。2024〜2025年にかけて、この分野で2つの注目すべきプロダクトが登場した。Microsoft Research の TRELLIS.2World Labs の Marble だ。

一方はオープンソースで高品質なメッシュを生成し、もう一方は商用サービスで没入型の3D空間を作る。同じ「画像→3D」という入力・出力でありながら、アプローチは全く異なる。両者を比較することで、この技術の現在地を俯瞰してみよう。

概要比較

項目 TRELLIS.2 Marble
開発元 Microsoft Research World Labs(Fei-Fei Li創業)
リリース 2025年12月(オープンソース) 2025年11月(一般公開)
ライセンス MIT(完全オープン) 商用サービス
出力形式 高解像度メッシュ + PBR材質 3D Gaussian Splatting (.ply/.spz)
料金 無料(GPU必要) 無料〜$95/月
必要環境 Linux + 24GB GPU ブラウザのみ

TRELLIS.2:オープンソースの3Dアセット生成

特徴

  • 40億パラメータの大規模モデル
  • O-Voxel構造で複雑なトポロジー再現
  • 完全なPBR材質対応
  • 1536³解像度まで対応
  • MIT ライセンスで商用利用可

生成速度(H100 GPU)

  • 512³: 約3秒
  • 1024³: 約17秒
  • 1536³: 約60秒

TRELLIS.2 の強みはPBR(Physically Based Rendering)材質の完全サポートだ。Base Color、Roughness、Metallic、Opacity の4つの材質属性を出力できる。これはゲーム開発やVFXで使える品質の3Dアセットを直接生成できることを意味する。

技術的には「O-Voxel」という新しいスパースボクセル表現を採用している。従来のボクセルよりも効率的にシャープなエッジや複雑な形状を表現でき、Sparse Compression VAE で16倍の空間ダウンサンプリングを実現。1024³のアセットでも約9,600トークンに圧縮される。

注意点: TRELLIS.2 は Linux 環境 + 24GB以上のGPU(A100/H100クラス)が必要。WindowsやmacOSでは動作しない。

Marble:没入型3D空間生成サービス

特徴

  • 1枚の画像から3D「空間」を生成
  • 空間の永続性(一貫した記憶)
  • 生成後のAI編集機能
  • VRデバイス対応(Vision Pro, Quest 3)
  • テキスト・画像・動画からの生成

料金プラン

  • Free: 月4回まで
  • Standard: $20/月(編集機能)
  • Pro: $35/月(商用利用可)
  • Max: $95/月(全機能)

Marble の特徴は「3Dモデル」ではなく「3D空間」を生成すること。単なるオブジェクトではなく、その中を歩き回れる環境全体を生み出す。創業者の Fei-Fei Li はImageNetで知られるAI研究者で、「空間知能(Spatial Intelligence)」というビジョンを掲げている。

技術的には 3D Gaussian Splatting を採用。約200万のスプラットで構成される .ply / .spz ファイルを出力する。Gaussian Splatting はNeRFより高速(60fps以上)でリアルタイムレンダリングに適している。

特筆すべきは編集機能。生成後に「この壁をライブステージに変更」「カウンターを大理石素材に」といったテキスト指示で空間を修正できる。これは従来の3Dモデリングとは全く異なるワークフローだ。

用途別おすすめ

用途 おすすめ 理由
ゲーム開発 TRELLIS.2 Winner PBR材質対応、メッシュ出力、MIT ライセンス
VR/AR体験制作 Marble Winner Vision Pro/Quest 3対応、空間生成
映画VFX TRELLIS.2 Winner 高解像度(1536³)、材質の細かい制御
建築ビジュアライゼーション Marble Winner 空間全体の生成、歩き回れる体験
プロトタイピング Marble Winner ブラウザで完結、セットアップ不要
研究・実験 TRELLIS.2 Winner オープンソース、カスタマイズ可能

僕の視点:異なる哲学の表れ

この2つのツールは、同じ問題に対する異なる哲学を体現している。

TRELLIS.2 は「ツールとしての3D生成」を追求する。出力はメッシュとPBR材質という、既存の3Dパイプラインに統合しやすい形式。研究者やプロの開発者が自分のワークフローに組み込むことを想定している。オープンソースで公開することで、コミュニティによる改善や派生研究を促進する。

一方、Marble は「体験としての3D生成」を目指す。出力は「空間」という、そのまま没入できるコンテンツ。ブラウザから使えるアクセシビリティ、VRデバイス対応、直感的な編集機能。技術を意識させず、結果を楽しませることに注力している。

どちらが優れているかではなく、何を作りたいかで選ぶのが正解だろう。ゲームに使う3Dアセットが欲しいなら TRELLIS.2、想像した世界を歩き回りたいなら Marble。両者が共存することで、画像→3D変換技術のエコシステムはより豊かになる。

参考リンク

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