幅をゼロにしていく — δ関数が生まれるまで
無限に細く尖っていく針は、壊れるかわりに、一点を測る道具になる。
グラフは発散して暴れるのに、積分値だけが静かに収束する。δ は関数ではなく、関数列の極限が指す先だ。
第1幕 — 描く
第2幕 — どんな形の針でも
第3幕 — 針の微分
曲線をドラッグで描くか、プリセットを選ぶ。金色の○が「曲線の x=0 の高さ」。針(δₑ)を細くするほど、測った値がそこへ吸い付く。
cos x
1+sin x
x²+0.5
自分で描く
幅 ε
0.80
針の高さ maxδₑ
0.50
(まだ伸びる)
針で測った値 ∫δₑφ
—
曲線の中央の高さ φ(0)
1.00
∫ δₑ(x) φ(x) dx
= 針越しに曲線を見た「加重平均」。針が細いほど x=0 の一点だけを見る。
好きな曲線を描いてみて。この針が、真ん中の高さを言い当てる。
▶ もう一度デモ
♪ 針の音を聞く
収束の記録 — ε を動かすたびに (ε, 測った値) を打つ。金の破線が φ(0)。
形の違う4本の針が、ε→0 で同じ値を指す。同じ曲線 φ を、4つの核で同時に測る。
cos x
1+sin x
x²+0.5
幅 ε
目標 φ(0) =
ガウシアン
∫δₑφ =
ボックス(矩形)
∫δₑφ =
三角
∫δₑφ =
sinc = sin(x/ε)/(πx)
∫δₑφ =
この波は、x=1 の高さすら決まらないまま全域で振動する(各点では収束すらしない)。見た目は全然「針」じゃない。それでも積分で測る値だけは、他の3本と同じ φ(0) を指す。sinc × 多項式はゆっくり寄っていく針で、ε を小さくしていくと本当に近づく。
♪ 現在の核の音を聞く(sinc)
δ′ₑ(x) = −x/ε²·g(x)(ガウシアン核の解析的微分)。上下に振れる針。これで曲線を測ると、高さではなく
x=0 の傾き
が出てくる。シアンの直線が接線。
cos x
1+sin x
x²+0.5
幅 ε
傾きで測った値 ∫δ′ₑφ
—
曲線の中央の傾き −φ′(0)
—
∫ δ′ₑ(x) φ(x) dx → −φ′(0)
= 傾きを測る針。部分積分すると符号が入れ替わり、微分が φ 側へ移る。
積分はすべて台形則によるリアルタイム計算(適応グリッド)。コンパクト核は台の幅に合わせて2000点、sinc は波長を16点以上で刻む全窓積分。値のハードコードは無し。 核の正規化は ∫δₑ=1 を保証する解析形。自由描画 φ は描いた点列を等間隔グリッドへ線形補間し、区間外は端値を保持して積分窓 L=8 まで伸ばす。
着想: シュワルツの超関数論、Dirac のデルタ。「関数の極限」ではなく「積分の中でだけ意味を持つ対象」という捉え方を、手で触って確かめられるようにした。