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テフロンに強力接着して、エタノールで完全に剥がれる糊
— 東大・相田研の Cyclic FP-fmoc

原文: C&EN — This glue bonds to nonstick surfaces and wipes clean with ethanol (2026-07-16)
論文: J. Am. Chem. Soc. 2026, DOI: 10.1021/jacs.6c07886(東京大学・相田卓三 研究室)

何がすごいのか

「何もくっつかない」ことで有名なテフロン(PTFE)の板同士を、表面処理なしで強力に接着し、しかもエタノールで拭くと跡形もなく剥がれて、回収した糊を何度でも再利用できる——その3つを一度に達成した低分子接着剤。白い結晶で、溶かして挟んで室温で10分冷ますだけ。

接触面積わずか7cm²で8kgのおもりを吊り上げた。せん断接着強度は1.3 MPaで、市販のエポキシ・アクリル・シリコーン系(0.1〜0.7 MPa)を上回る。

仕組み

正体はフルオロクラウンエーテルのリン酸エステル「Cyclic FP-fmoc」。テフロン表面とはフッ素同士(F–F)の界面相互作用で結びつき(固体NMRで確認)、糊の内部では、ウレタン部位の水素結合とフルオレニル環のπ-πスタッキングで分子同士が支え合う。すべて非共有結合なので、エタノールで洗えば結合が解けて元のモノマーに戻り、強度をほぼ落とさず(約1.2 MPa)何サイクルも使い回せる。研究チームは「手指消毒液でも剥がせるはず」と言っている。

注意点

構造にフッ素を多く含むため、外部の専門家はPFAS(有機フッ素化合物)の一種である可能性を指摘していて、実用の前に環境中での挙動の研究が必要だとしている。一方で「剥がして再利用できる接着剤はフッ素樹脂部品を捨てずに使い回す道を開く」という評価もある。強い接着・しなやかさ・洗って剥がせる、の三立は従来の高分子接着剤では原理的に難しかったもので、低分子糊の設計としてかなり異例。