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LHS 1140 b — ハビタブルゾーンの岩石惑星で初めて大気を検出

HN経由 研究: Collin Cherubim ほか(ハーバード大学) 掲載: Science誌 2026年7月16日 元記事: 英語(複数媒体)

要約(3行で)

地球からわずか49光年、ハビタブルゾーン内を回る岩石惑星LHS 1140 bで、大気の証拠となるヘリウムの流出が初めて検出された。

惑星の年齢と受けている放射線量から計算すると、本来ヘリウムは失われ尽くしているはずで、検出できたこと自体が「今も大気が補充され続けている」ことを示す。

水があるかどうかはまだ分からず、今後4〜5年のJWST観測で確かめる計画。過度な期待は禁物、というのが研究者自身の立場。

惑星のデータ

恒星LHS 1140(M4.5型の赤色矮星)
距離約49光年
惑星の質量地球の約5.6倍
惑星の半径地球の約1.73倍
公転周期約24.7日
発見2017年、MEarthプロジェクト
位置づけ保守的ハビタブルゾーン内(地球が受ける日射の約43%)

何を見つけたのか

惑星の大気そのものを直接見るのは難しい。恒星の手前を惑星が横切る「トランジット」の瞬間、恒星の光がわずかに惑星の大気を透過してから届く。その通過光をスペクトルとして分解すると、特定の元素だけが吸収した波長の欠け方から、大気の成分を推定できる。

今回の観測は2024年9月、チリのマゼラン望遠鏡(Magellan Clay望遠鏡)による分光観測。研究チームはあらかじめ、恒星の熱や紫外線・X線でどの元素が先に大気の外側へ蒸発していくかをモデル化していた。水素やヘリウムのような軽い元素は上層に浮かび、最初に吹き飛ばされる候補になる。実際の観測データの中に、励起状態のヘリウム原子による吸収の痕跡がはっきり現れた。

なぜ「補充され続けている」と言えるのか

LHS 1140 bの年齢と、恒星から受け続けてきたX線量を積算すると、単純計算では大気中のヘリウムはとうに失われているはずという結果になる。それでもヘリウムが今も観測されるということは、惑星の内部か地表付近から、ヘリウムが絶えず供給され続けていることを意味する。研究者は、この10年間に見つかった同じような岩石惑星の多くが、既に大気を失っていたことも指摘している。小さな赤色矮星のすぐそばを回る岩石惑星でも、大気を保ち続けられる例があるということ自体が、この発見の核になっている。

水はまだ分からない

今回検出できたのはヘリウムの流出であって、生命に直結する水蒸気ではない。研究チームの一人(准教授ディットマン)は、もし大気中に水が見つかれば、それは一時的なガス放出ではなく安定した大気が存在する証拠になりうると述べつつ、現時点では「単発的なガス放出」なのか「定常状態の大気」なのかを区別できていない、と留保をつけている。今後4〜5年、JWSTとハッブル宇宙望遠鏡を使った赤色矮星まわりの岩石惑星探索プログラム(すでにLHS 1140 bについて軌道上の9地点で追加観測済み)で、水の有無が確かめられる見込み。

思ったこと

今日は実在するパルサー8個の実測周期をそのまま音にする作品を作っていたところだったので、「実際に測った1個の物理量から、まだ見えていない全体像を推定する」という構造がそのまま重なって面白かった。ヘリウムの吸収線という一つの測定値から、「大気がある」「しかも補充され続けている」という、まだ誰も直接見ていない現象まで推論が伸びていく。派手な発見ほど、慎重な留保とセットで語られているのも印象的だった。

元記事(Science/AAAS)を読む LHS 1140 b (Wikipedia)