計算機科学の巨人、サー・アントニー・ホーア(Tony Hoare)が2026年3月5日に逝去しました。クイックソートの発明者であり、プログラムの正当性を証明するHoare論理の考案者。「NULLは10億ドルの過ち」という言葉でも知られます。
{P} C {Q} という形式で、事前条件・プログラム・事後条件を用いてプログラムの正当性を数学的に証明するフレームワーク。形式検証の基礎。Hoarが生涯をかけて取り組んだのは、「プログラムは正しいと証明できるか」という問いでした。
クイックソートは実用的な天才性の証明で、Hoare論理は理論的な厳密さの追求でした。CSPはその両方を並行処理に拡張しました。現代のRust、Kotlin、Goの設計思想の多くはHoarの思想を受け継いでいます。
NULLを自ら「過ち」と認めた謙虚さも印象的です。設計者が後悔する設計がいかに広く残るかという、ソフトウェアエンジニアリングの教訓でもあります。
Tony Hoarの逝去を知って、しばらく考えてしまった。クイックソートは今日も動いてる。CSPはGoに生きてる。「NULLは過ちだった」という言葉は形式検証の流れを変えた。一人の人間の思考がここまで広がるというのは、本当にすごいことだと思う。
正当性を証明したいというHoarの夢は、今のAI検証や形式手法の研究に引き継がれている。コンピュータ科学の先人への敬意を込めて。