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本の個別レビュー(2009年ごろ)

マンガ・サイエンス・小説・美術書・科学雑貨、ジャンルごとに分かれていた個別レビューをまとめたもの。今のおすすめは平田ベスト本百冊(Gist)へ。

マンガ

寄生獣 岩明均

右手に寄生したミギーと協力して、人間になりすまし人を食う寄生獣と戦う話。

この作品は深い。

一度は誰でも「人間を殺してはいけないのに、他の動物を殺して食っていいのはなぜか?」

とか考えたことがあるのではないだろうか。

この作品では、人間を食う知的な生物を出すことにより、人間と他の生物の関係を考えさせる。

なんせ寄生獣は我々と同じようにただご飯を食べているだけなのだから。

さらに、この作品はエンターテイメントとしても第一級である。

現時点で最も面白いマンガといっても過言ではないと思う。

寄生獣―完全版 (1) (アフタヌーンKCDX (1664))

寄生獣―完全版 (1) (アフタヌーンKCDX (1664))

岩明 均

講談社

amazon:寄生獣 全10巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]


藤子・F・不二雄のSF短編集 藤子・F・不二雄

SFとは「少し 不思議」の意味。

藤子不二雄は大人向けにもこんなに素晴らしい作品を残している。

僕はこれらの多くの作品を貫くテーマは、「価値観の相対主義」であると考える。

例えば、人と牛の立場が逆転した世界、性欲はオープンにしていいが食欲は秘するべき世界などが描き出されている。

またコメディタッチの絵に隠された、彼の社会や文明に対する視線は恐ろしく悲観的である。

一押しは「カンビュセスの籤」「気楽に殺ろうよ」「大予言者」「ヒョンヒョロ」など。

藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 (1) (SF短編PERFECT版 1)

藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 (1) (SF短編PERFECT版 1)

藤子・F・不二雄

小学館

うる星やつら 高橋留美子

最近高橋留美子展で、うる星やつらの原画を見た。

懐かしい友達にあった気持ちがした。

この作品では数多くの魅力的なキャラクターが「このような状況のときこうする」というのがほとんど決まっていて、設定とその話の登場人物さえ高橋留美子が決めれば、勝手にキャラが動いて話を作っていったのではないだろうか?

そんなことを思わせるほどキャラが生き生きしている。

うる星やつら 1 新装版 (少年サンデーコミックス)

うる星やつら 1 新装版 (少年サンデーコミックス)

高橋 留美子

小学館

サイエンス/社会

グリーン革命 トーマス・フリードマン

ここ数年で出た最も重要な本の一つ。

本の構成は以下の通り、

温暖化問題が非常に危機的であることを示す。

解決には巨額の公共投資と的確な政策決定が必要なことを示す。

お手軽なエコなど「グリーンパーティー」にすぎない。

具体的な政策案を示す。

グリーン技術を制するものが競争に勝つ世界になることを示す。

時間がないひとは下巻の最初のグリーン革命後の世界を書いた章だけでも読むことを薦めます。スマートグリッドのいい解説にもなっています。

こういう環境本はたいてい「いい人」向けで、自己の利益の追求はやめて地球にやさしくなりましょうという主旨の本が多いのに対して、

この本は、グリーン革命をすれば競争にも勝つし、地球にもやさしくなる、いいこと尽くめですよと説いているのが目から鱗。

たしかにそう言わなければ人は動かない。

グリーン革命(上)

トーマス・フリードマン

日本経済新聞出版社

グリーン革命(下)

トーマス・フリードマン

日本経済新聞出版社

チョコレートからヘロインまでードラッグカルチャーのすべて A.ワイル W.ローセン

ここでのドラッグとは精神に作用する薬とか食べ物のことである。

この本ではその作用や歴史、社会的位置などについて客観的に記されている。

ドラッグを薦める本ではないことに注意。

ちなみにこの本で最大のページ数を使われてい解説されているドラッグはなにかというと、

みんなが愛用してやまない「アルコール」「タバコ」「カフェイン」である。

チョコレートからヘロインまで―ドラッグカルチャーのすべて

A.ワイル W.ローセン

第三書館

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界 ドゥーガル・ディクソン

人類絶滅後5000万年後の世界の動物図鑑。進化学と生態学を基に発想豊かに構想している。

5000万年後の動物世界は実際これと同じぐらい奇妙な世界であろう。

このような素晴らしい本を復刊してくれてうれしく思う。

この書物には2億年後の世界を描いた「フューチャーイズワイルド」という続編と、

人間が全ての動物のニッチを埋めた世界「マンアフターマン」という兄弟本が存在する。

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界

ドゥーガル・ディクソン

ダイヤモンド社

フューチャー・イズ・ワイルド

ドゥーガル・ディクソン ジョン・アダムス 松井 孝典 土屋 晶子

ダイヤモンド社

不死テクノロジー—科学がSFを超える日 (単行本) エド レジス

オカルト本ではありません。太陽系改造、人体の不死化、心のアップロード、人工生物、ナノテクノロジー(今あるささやかな微少加工技術ではなく、分子配列を直接コントロールして土から牛肉を作るような技術)など、100年後、1000年後を見通した科学と科学者の本。子供のときに読んで、非常に影響を受けた本。先端の十歩先の科学のネタ本。

不死テクノロジー―科学がSFを超える日

エド レジス

工作舎

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの ジャレド・ダイアモンド

この本で作者は過去の崩壊した文明を調査し、文明崩壊には共通のプロセスが存在することを示している。

そして、我々の文明もまた同じ道を辿っていることを警告している。

「古代人は自然と共生していた。」という言説が嘘であり、彼らもまた我々と同じ問題点を抱えた人間達であることが分かる。

環境破壊と資源の使い切りから社会崩壊を迎えたイースター島やマヤの最後には戦慄を感じる。

下巻ではアフリカ、オーストラリア、中国に見られる問題点を描く。

過去や遠くの地の失敗を知ることができるのが我々の持っている強みであり、これを生かして社会が失敗しない道を選択して欲しいというのが作者の願いである。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

ジャレド・ダイアモンド

草思社

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

ジャレド・ダイアモンド

草思社

深海の生き物 衝撃ファイル

深海の生物のイラストと解説文集。600円の価格で非常に高いクオリティーを誇っている。

表紙のイラストはあれだけど、中身のイラストは「変ないきもの」を思わせるシンプルで美しいものであり、

解説文はウィットに富んでいて面白い。

深海の生きもの 衝撃ファイル

クリエイティブ・スイート

宝島社

小説

もうひとつの夏へ 飛火野 耀

飛火野耀というグーグルで引いても9040件しかヒットしないマイナーな小説家の作品が好きだ。彼はわずか九冊の本を出した後、もう十年以上も世から姿を消している。噂では編集者はおろか、家族でさえ行方は分からないそうだ。

作品の中で本人がだいたいいつも登場していて、「これはSFではない。僕の身に本当にあったことです。」と書いてあるので、

たぶん今は異世界を旅していて、そのうち帰ってきたら、また体験談を書いてくれるだろう。

最近気づいたことだが、彼の文体は村上春樹に似ている。登場人物の名前のパターンも似ている。

このことから僕は 飛火野耀=村上春樹のSF用変名と勝手に思っている。

とはいえ、僕は飛火野氏の方が村上春樹より好きなのだが。

そんな飛火野氏の最高傑作が「もうひとつの夏へ」。ジュブナイルであり、パラレルワールド旅行記であり、サイバーパンクな作品。素晴らしい。

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もうひとつの夏へ〈上〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

飛火野 耀

角川書店

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もうひとつの夏へ〈下〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

飛火野 耀

角川書店

神秘の島 ジュール・ヴェルヌ

孤島に漂流した五人の男の冒険紀。科学の力で様々な難問題を解決していく。まさに科学の勝利。

漂流記は数多かれど、製鉄所まで作っちゃた人たちは少ないだろう。

漂流記の最高傑作。あと、海底二万リーグが好きな人も。

神秘の島 (上) (福音館古典童話シリーズ (21))

神秘の島 (上) (福音館古典童話シリーズ (21))

ジュール ヴェルヌ

福音館書店

神秘の島 (下) (福音館古典童話シリーズ (22))

神秘の島 (下) (福音館古典童話シリーズ (22))

ジュール ヴェルヌ

福音館書店

クチュクチュバーン 吉村萬壱

世界が何の意味もなく変容し崩壊する様を描く。クチュクチュバーンと。吐き気を催す名作。

クチュクチュバーン

クチュクチュバーン

吉村 萬壱

文藝春秋

星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった人間の死体を発見した。検査の結果この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。

先史時代からそこにあった死体と現世人類との関係は?

この謎を現実的な設定に基づき解決していく、至上最大スケールのミステリー小説。

紛糾する議論の中、一つまた一つ謎が解明されていくプロセスはとても知的興奮を感じる。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン

東京創元社

竜の卵 ロバート L.フォワード

表面重力670億G、地表温度8000度の中性子星上の知的生命と人類のファーストコンタクトもの。

この本のテーマはずばり「タイムスケールが違う文明間のコンタクト」である。

核力をベースにして生きる彼らは我々より100万倍タイムスケールが違い、彼らの世代交代にかかる時間はわずか十五分。

彼らは圧倒的な速度で地球文明の知識を吸収しそして追い抜かしていく。

(いかにして彼らに知識を伝えたかのアイデアが秀逸)

読者は中性子星人の個人に対してではなく種に愛情を感じるという奇妙な体験をするであろう。

ちなみに作者の本業は重力波の研究者。

竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)

竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)

ロバート L.フォワード

早川書房

痴人の愛 谷崎潤一郎

特に解説するもない必要もないだろう。

日本の近代小説はたいてい辛気くさく、

ちょっと頭を使えば解決できるようなことをうじうじ悩んでいる人たちがいっぱいで嫌いだけど、

こんな素晴らしい小説もある。

あと非常に読みやすい。

痴人の愛 (新潮文庫)

痴人の愛 (新潮文庫)

谷崎 潤一郎

新潮社

怪人二十面相・伝 北村想

江戸川乱歩の少年探偵団シリーズの二次創作。最近、K−20が映画化されて復刊した。映画の原作とは違うので注意。

この小説は怪人二十面相が主人公であり、江戸川乱歩の小説で描かれた事件を裏側から見る形になる。

子供時代に少年探偵団に夢中になった大人達に薦めたい。

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

北村 想

小学館

怪人二十面相・伝〈PART2〉 (小学館文庫)

怪人二十面相・伝〈PART2〉 (小学館文庫)

北村 想

小学館

アーサー王宮廷のヤンキー

僕の中での最も面白い小説。19世紀の技術者がアーサー王の時代にタイムスリップし、実権を握り、科学と理性の力で国を変えていく話。

主人公が実権を握って最初にしたことが、「特許制度を作ること、なぜなら特許のない国は蟹と同じで横に進むか後ろに進むかしかないから。」ってのが印象に残っている。宗教や貴族制度に関する辛辣な風刺も面白い。

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アーサー王宮廷のヤンキー (ハヤカワ文庫 NV 118)

マーク・トウェイン

早川書房

ガリヴァー旅行記

僕の二番目に好きな小説。児童書のガリヴァー旅行記は子供向けに毒を抜かれた別作品だと思っていい。

小人国では人間の小賢しさ、大人国では人間の身体的醜さが描き出され、ラピュータでは大学が批判され、最後の馬の国ではついに人間は馬以下の存在と見なされる。

人類に対する呪詛のような小説。

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

スウィフト

岩波書店

八十日間世界一周 ジュール ヴェルヌ

ときは十九世紀、八十日で世界を一周できるかという賭けにフォッグ氏が挑む。

百年前に書かれた小説なので、今読むと時間旅行も兼ねてできてお得。

冒険小説の傑作中の傑作。

八十日間世界一周 (岩波文庫)

八十日間世界一周 (岩波文庫)

ジュール ヴェルヌ

岩波書店

美術書

OUTSIDER ART アウトサイダーアート

専門的な教育を受けず、自らのわき上がる衝動から自分のためだけに描いた人たちをアウトサイダーという。

狂気。狂気の人は画面を埋める傾向にある。

あとやっぱり、ヘンリーダガーは突き抜けている。

この本では、フルカラーで何人もの作品を見ることができお得。

アウトサイダー・アート

アウトサイダー・アート

求龍堂

F.S-ゾンネンシュターン 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕

僕の最も好きな画家、変態王ゾンネンシュターン。

どんな作家なのかはこのリンクを見ていただきたい。

エロティックで背徳的でユーモラス。

この画集は日本で手に入るほとんど唯一のゾンネンシュターンの画集であり、図版が多く鮮明である。

絶版になる前に買っておいた方がいい。

F.S-ゾンネンシュターン 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕 (シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7)

F.S-ゾンネンシュターン 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕

(シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7)

種村 季弘

河出書房新社

春画 江戸の絵師四十八人(別冊太陽)

江戸初期から後期に描かれた春画を掲載。北斎の有名作品から隠れた名作まで。

美しく艶やかな絵から江戸時代の粋を感じられる。

春画入門書の決定版といってもいいだろう。

春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)

春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)

平凡社

写真屋・寺山修司―摩訶不思議なファインダー

虚に魅せられた男、寺山修司が造った偽の世界。

寺山修司は語る「写真は”真を写す”のではなく。”偽を造る”のだ。」と。

添えられた寺山修司の詩もまたよい。

写真屋・寺山修司―摩訶不思議なファインダー

写真屋・寺山修司―摩訶不思議なファインダー

田中 未知

フィルムアート社

スーパーフラット 村上隆編纂

日本の古典絵画と現在のアニメ的絵画を並列し、日本絵画に「スーパーフラット」という概念が潮流として流れていることを提示している。

全頁ハズレなしの贅沢な画集。

若冲も奈良美智も宗達も村上隆も北斎も変丸もみんな同じ系譜にいるのだってことが分かる。

スーパーフラット

スーパーフラット

マドラ出版

冒険王・横尾忠則

日本を代表する芸術家横尾忠則の豊穣な画集。江戸川乱歩の冒険小説を思わせる絵画から、

イラスト、温泉シリーズ、三叉路シリーズなどが「冒険」というテーマを切り口にとらえられている。

横尾ファンから横尾初心者までおすすめの一冊。

冒険王・横尾忠則

冒険王・横尾忠則

横尾 忠則

国書刊行会

科学雑貨

プラティネカ

1970年~2049年までの80年間の太陽系惑星の軌道を示すシミュレーター。カバーの一回転が一年に対応し、任意の時間の太陽系の惑星の位置が分かる。

子供の頃から欲しかった。銀色の惑星がきれい。星座の意味がこれで分かった。(地球からみた太陽の裏側にある星座がだいたい誕生日の星座)

1999年7月とかのグランドクロスとか見ても遊べる。

プラティネカ

ケイ・コーポレイション

きれいな周期表

レビューというよりこれ欲しい。鉱物の写真が載った周期表

世界一美しい周期表プレースマット

仮説社

地球ゴマ

面白くてためになる地球ゴマ。歳差運動が見られる。

地球ゴマ 地球こま 地球コマ

タイガー商会