輪に張った膜に息を吹きかけるところは、前もって計算した結果を再生しています。輪(半径 2 cm)の 3 cm 手前にある口(半径 6 mm)から、秒速 9 m の息が膜に当たります。まわりの空気の流れを軸対称の流体の式で解き、膜は空気に浮かぶ張力のある線として一緒に動かしました。膜が伸びると界面活性剤が薄まって張力が上がり、伸びに逆らいます。筒がくびれて首が十分細くなったところで切り、閉じた玉にしています。押している時間ごとに 8 通り計算してあり、指を離した時点の吹き方の結果へ切り替えます。玉が離れたあと輪に残った膜は平らに戻り、まだ厚みがあればもう一度吹けます。伸びきって戻れなかった膜や薄くなりすぎた膜は割れ、輪を皿の液に浸し直して張り直します。引き上げた直後の膜は数 µm より厚く、干渉の色はまだほとんど出ません。
この計算では、秒速 6 m までの息だと膜はへこんだ形のまま止まり、玉になりません。秒速 8 m では筒が長く伸びてから玉が切れ、秒速 9 m ではもっと早く切れました。息の勢いが膜の張力に勝つかどうかの境目で、口を膜に押し当てて吹いたときの見積もりは秒速 5.3 m です(Salkin ら 2016)。計算の息は膜に届くまでに広がって遅くなるので、境目はそれより上に来ます。口が膜から離れているほど、強く吹かないと玉になりません(Zhou ら 2017)。この再生には、輪の液だまりから新しい膜が引き出される効果を入れていません。入れると玉になる境目は秒速 5〜6 m に下がります。計算の中身は記事に書きました。膜は息の太さの筒になって伸び、先にできる玉の半径は筒の約 2 倍でした(格子を細かくすると 1.96 倍から 2.06 倍)。筒がくびれる不安定性からの見積もりと実験では、約 2.15 倍です(Su ら 2017)。膜の重さは無視していて、厚さは膜全体の液の量を面積で割った平均で色をつけています。
輪を離れた玉は、玉ごとに膜の厚さ・界面活性剤の濃さ・膜の上の流れを球面上で解いています。重力で液は下へ流れ、薄い斑が浮き上がって渦を巻きます(膜の弾性と重力は同じ割合で弱めて計算していて、渦の速さは実物に近い秒速数 mm〜数 cm です)。色は膜の表と裏で反射した光の干渉です。いちばん薄いところが 15 nm ほどになるか、薄くなるにつれて上がる確率で穴が開き、玉は数ミリ秒で消えます。
背景: Poly Haven「Charolettenbrunn Park」(Grzegorz Wronkowski 撮影、CC0)